
調査概要
◆日時:平成22年1月15日(金)
午前10時30分~午後4時30分
◆獲得サンプル数:100サンプル
調査内容
(1)よく利用する喫茶店とは?
(2)カフェを利用する理由と選択基準とは?
(3)コンビニのプレミアムコーヒーの購買状況は?
(4)希望するメニューは?

(1)よく利用する喫茶店

◆新橋でのヒアリングでは、よく利用するカフェとして、スターバックス、タリーズなどのシアトル系カフェが最もよく挙がりました。(60%) 2番目に多く挙がったのが、マクドナルドです。この2つのカテゴリーが他より抜きんでている状況でした。ドトールやエクセシオールカフェなどの名前も挙がりましたが、マクドナルドによるカフェ業界への影響度が予想以上に進んでいることが分かりました。

◆年代別で特徴が出ました。シアトル系カフェは20歳台~34歳のレンジで利用率が高く、マクドナルドは、10歳代と40歳代・50歳代で利用率が高くなる傾向があります。
(2)カフェを利用する理由と選択基準
◆カフェを利用する理由は、「一般的な休憩」が多く、38.6%を占めました。次いで待ち合わせなどの「時間つぶし」が来ており、「食事」など目的を持っていく人は意外と少ないという結果になりました。
◆特に昼食はあまり食べていないようです。カフェに対する昼食ニーズが昔に比べて弱くなっているような感じがします。
◆カフェを選択する最も大きな要因は、まず「お値段」の様です。不景気でお小遣いが減少していると思われることから、価格志向は強くなっています。次いで「いごこち」のようです。そこに居て、自分のライフスタイルからズレていない、落ち着くなどの精神的要素が強いものと考えられます。次いで利便性である「立地」となります。
◆若い層を中心に、節約志向が広がり、喫茶店にはあまり行かなくなっているのかと想像されましたが、価格志向ではあるものの、喫茶店の利用頻度は、昨年、一昨年と比べ大勢的には変化がなく、逆に少々頻度が高まっている感じです。
(4)希望するメニューについて
希望するメニューについては、全体的には、「ワッフル」「スープ」「サンドイッチ・バーガー」など軽食のバラエティが求められていることが分かりました。
一方、ケーキや「たまにはカロリーたっぷり」のものを、ご褒美として食べたいという意見も一部散見されました。その他、具体的には、コーヒーのバリエーションをもっと増やしてほしい、サラダ類が欲しいという意見が多かったです。
ここである仮説が見えてきました。「カロリーたっぷり」のご褒美と、「コーヒーバリエーション、サラダ類がほしい」ということは、朝、昼のメニュー希望に、日本人にはいまだに、「アメリカンブレックファストへのあこがれ」と潜在的メニュー価値観がひそんでいるのではないか!?」という仮説です。
「カフェ」という言葉は「フランス語」からきていますが、「クロワッサンをなみなみ注いだ、濃いコーヒーに浸して食べる」というフランスの食習慣はいまだ
日本には定着していません。紙面の都合上、これ以上のアンケート調査は実施しておりませんが、日本旅館で食べられる「日本の朝食とヘルシーさ」への見直しがスーパーモデルのダイエット指導をしている現場から見直されている半面、カフェ、喫茶利用者に潜んでいると思われる「アメリカンブレックファストへのあこがれ」と世代による味覚の変化(20代、30代)はメニュー構成を考える上で、追跡調査する価値があるものではないかと匠ニュースレター編集チームは考えました。
2000年代後半、喫茶店業界に、新たにマクドナルドの「プレミアムローストコーヒー」が現れました。高級豆に加え、独自のコーヒーマシンで販売され始めたその商品は、本国アメリカで話題となりました。最近では中村屋総出演のCMが話題となり山手線の電車でもながれています。マクドナルドの「いつまでも安いだけのファーストフード店ではない」「打倒スターバックス?」という新しいスタイルを認知させられるキッカケとなりました。とはいいつつも、マクドナルドの挑戦はそれ(プレミアムローストコーヒー)が初めてではありませんでした。最初90年代の終わりから2度日本に出店しました。ですがそのどれもが伸び悩み撤退を余儀なくされます。
まず既存のマクドナルドの差異ですが、ターゲットがビジネスマンやOLへと向けられたことにより、フード構成や調度品、空間使いが変わったことです。それまでマクドナルドの定番構成は「ハンバーガー」「ポテト」「ジュース」でしたが、マックカフェでは「焼きたてパン」「野菜たっぷりスープ」「サラダ」という、ヘルシーでありお洒落を感じさせる構成となっています。調度品にしても、それまでプラスチックの備え付け椅子や、パイプ椅子だったのがゆったりと過ごし易い革張りソファーにかわり、テーブルもそれに合わせ設置されています。
ですがそれは結局、大きな集客には繋がりませんでした。ビジネスマンが選ぶにはボリューム不足で、OLが選ぶにしても、決め手が足りなかったのかもしれません。スターバックスのように高単価商品の販売を目指したわけですが、現在もマックカフェ自体が独立していませんし、また既存のマクドナルドと同じ程に認知度が高まっているとは考えられません。肝心の顧客は、マクドナルドには高級路線は求めておらず、品質重視の利便性を求めているものと考えられます。なので、店舗としてのマックカフェは苦戦するも、「商品単体としてのマックカフェ」が受け入れられたのではと考えられます。
つまり、120円で販売されているプレミアムコーヒーの購入者が増えたということです。都内数店舗のマクドナルドの朝、昼の視察調査では、サラリーマンのテイクアウト(英語ではto-go)の利用が多かったです。「会社にもっていって飲む」という利用者でした。 また、コーヒー試飲では、スタバは苦みだけが強調され、ストレートでのむには、ちょっと「無理がある味」となっていました(コーヒー味覚図で試飲評価を実施)。 つまり、スチームミルク、ホイップクリームなどをのせたときにちょうどよい「苦みとコク」であり、プレミアムコーヒーの味わいを堪能する「ストレートに飲む(ミルク、砂糖をいれない)味」はマクドナルドのほうが「飲みやすい、なじみやすい」テイストという結果でした。 また、昔のスタバファンにきいたところ、コーヒーの味が突如うすくなり、BODY(コクとほのかな苦み、そして甘みや酸味)がなくなり利用しなくなったということでした。この時期とスターバックスの低迷がいわれはじめた時期が類似しているようです。また、最近米国では強烈なコーヒーの味の違いに関しての比較宣伝広告がされており、スタバのイメージダウンを狙っています。ただ、ファーストフード(マクドナルド)に求めるものと喫茶店(スターバックス)にもとめる根本的な利用ニーズの違いがありそうです。
そう考えると、スターバックスとマクドナルドは、ターゲット顧客が異なり、固たる棲み分けが出来上がっていると感じます。
では、実際に東京23区の出店エリアをTakumiMapで調査、検証してみましょう。
プレミアムコーヒーとは?
「コーヒーの生豆が選別され、ローストが新鮮で正しく抽出されたコーヒーで産地の味をきちんと味わえるコーヒー」といわれています。コーヒー豆の種類には「アラビカ種」と「ロブスタ種」があり、「モカ、キリマンジャロ、ブルーマウンテン、ガテマラ」などはアラビカ種の豆を産地で分類した銘柄です。パナマ産のコーヒーが昨年最高値段で取引された「ゲイシャ」という豆もあります。品川駅構内で1杯1,200円で販売(期間限定)しています。 コーヒーチェーン店はそれぞれのコーヒー豆をブレンドしたものをプレミアムと呼んでいます。銘柄を指定して、その場で豆を挽いて、本格的なコーヒーの香りに包まれながら飲む、イタリア喫茶店の雰囲気からスタートしたスターバックスでしたが世界的に出店数を増やすために、工場で焙煎してパッケージ化されたコーヒーとなり、バリスタと香りが店内から消えてしまったようです。

図表6 マクドナルドの店舗分布図
マックカフェを取り扱っているマクドナルドの店舗は、千代田区、港区、中央区などのビジネス街でも見受けられますが、鉄道に沿った主要駅前店や、世田谷区などの住宅エリアでも見られます。江戸川区や葛飾区、足立区などのエリアでは、既存マクドナルドが存在するものの、まだ取り扱いは少ないようです(2009年12月上旬現在)。
従って、分布図を見ても、スターバックスとマックカフェが直接的に競合しているとは言い難いことが分かります。
図表7 ドトールコーヒー(グループ)の店舗分布図
ドトールコーヒーは、ブランド展開をしています。ドトールはセルフサービス型ショップ。千代田区、中央区などのビジネス街に集中して出店していますが、その他、新宿、渋谷、池袋などの商業エリア、鉄道沿いの主な駅前にも出店していることが分かります。
因みに、エクセルシオールカフェは、エスプレッソが飲めるイタリアンバールを想定したブランド。スターバックスやタリーズと同様に、ビジネス街と商業集中エリアに多く出店されている様子が分かります。ドトールはそのほか、銀座の一等地にはLe Cafe' Dotour、ハワイリゾートのイメージを出した、ハワイコナコーヒーと食事メニューのカフェマウカメドウズ。 店舗は池袋メトロポリタン、吉祥寺伊勢丹、ステーションビルなどに出店。つまり、客層とテナントビルコンセプト、立地と商圏の質にあわせた店舗ブランド展開(お店とメニューの特徴をかえること)で出店戦略を実施していることが見えます(本来ですと、直営店とFC店を区分して分析すべきですが、スペースの都合上割愛させていただきます)。
図表8 スターバックス、マクドナルド、ドトールコーヒーの店舗分布図

ではスターバックス、マクドナルド、ドトールコーヒーを一緒に地図上で俯瞰してみましょう。
中央線や井の頭線、東急東横線、東武東上線などの多くの駅前で、マックカフェ取り扱い店とドトールが重なっていることが分かります。一方、千代田区や中央区などのビジネス街では、あまり重なってはいません。今後、取り扱い店が増えることが予想され、ドトールコーヒーとの競合がさらに強くなると予測されます。
つまり、マクドナルドのマックカフェ取り扱いによって、直接的に大きな影響を受けるのは、ドトールコーヒーであることが分かります。マップを重ねてみると、マックカフェ取り扱い店の位置とドトールコーヒーの位置が極めて近いことが分かります
マクドナルドは、オフィス街を始め、ターミナル駅、そして郊外の住宅地まで広範囲に展開されています。また、大きな偏りもなく、均一されています。
それはターゲット層が広範囲に設定されているためで、また平日休日での大きな人口移動の影響を少なくするのも狙っているためだと考えられます。
そしてスターバックスですが、オフィス街とターミナル駅が主な出店位置です。ターゲット層を絞り込んでいるせいもありますが、「サードスペースの提供」というコンセプトに基づき、住宅地でない都心への出店に力を入れているようです。一方、平日・休日の変動は大きいのではと思われます。
「安い」「早い」「食べなれた、癖になっている味」「ちょっと寄れてお腹も満たされる」「24時間営業」「値段にしては味わいのあるコーヒー」のマクドナルド。
「落ち着く」「おひとり様がしやすい」「コーヒーが美味しい」「色々カスタム出来て楽しい」「タンブラーや豆が買える」「お洒落」のスターバックス。
マクドナルドが味の提供だとすれば、スターバックスは居心地の良いスペースの提供をしてきました。
根本的に顧客に届けたいものが違うので、追求していくと互いの戦略に大きな差がつくのは当たり前のこと。寧ろ垣根をしっかりとどめておく方が、選択権をもつ顧客にとっては良いことなのではないでしょうか。
もしそれでもマクドナルドがスターバックスを目指すならば、高単価でも良いと思わせる程の高い顧客満足度を求められます。今までのマクドナルドのイメージから完全に脱却し、全くの別物として作り上げていかなくてはなりません。
マップによる出店状況と競合商圏分析から、都内23区では、「マクドナルド、スターバックスとも棲み分けが出来ている」ことが分かりました。そうなると、「コーヒーを提供する」という点で、実際の双方のライバル店はどこなのでしょうか。
視察調査をもとに、提供している商品、価格を軸に図表9「現状のポジショニングマップ(プライスVSメニュー)の通り位置づけを立ててみました。
マッピング分析から見た競合商圏調査から、マクドナルド、スターバックスとも系統が被るライバル店が存在するのだろうということが分かります。
コンセプト、価格、ターゲット、商品などを比較した結果、マクドナルドの射程範囲はやはり同価格のドトールが挙げられます。
現在マクドナルドのターゲット層はビジネスマンも十分範囲内になりました。それは低価格でのプレミアムローストコーヒーや、PC利用者への電源コンセントの提供が実を結んだのではないでしょうか。
今後も新たなサービスが始まれば、ドトールの顧客が流れていく可能性は否定できません。そうならない為にも、ドトールは確固たるターゲット層の認識、またそこが求めると思われるサービス提供や、マクドナルドが出来ないサービス提供をベースに考えていく必要があるのではないでしょうか。
図表9 タリーズ店舗分布図
続いてスターバックスですが、競合として、同じシアトル系カフェであるタリーズが挙げられます。
タリーズの目指す「ゆっくりくつろげる空間」「お客様のお気に入りの場所でありたい」というコンセプト。それはスターバックスのあげる「サードスペース」と酷似しています。
しかし出店数に約2倍の差(タリーズ108店舗、スタバ196店舗 弊社独自調査による)があることから、顧客の認知度(どこに店があるか)はスターバックスと比較すると低いと思われます(新橋アンケートから)。
その為、顧客は自然と足を向けるのはスターバックスになっている様子です。タリーズコーヒーの店舗分布を見ると、港区を中心に、千代田区、中央区などのビジネス街と、新宿区、渋谷区などの商業・ビジネス街に集中していることが分かります。ほぼスターバックスと同じ位置であり、完全に競合状態にあることが分かりますが、池袋など23区北部の出店が少なく、中央線沿線にはほとんど出店していないことも分かります。 出店位置はスターバックスと大きな違いはありませんが、それでも特に新宿と東京駅付近に目立ちます。
図表4 スターバックスコーヒー店分布図
新宿では、同じ繁華街の渋谷の数倍多く出店しています。一方、オフィス街中心での出店には勿論穴があり、平日は良いとして、休日になると大きな客薄状態になっているのではないかと推測されます。
顧客にとってアクセスが不便でも、わざわざ行く目的が必要で、同イメージの強いスターバックスが近場にあるのなら、そちらへ流れていくのも仕方のないことです。従って今後の出店の方向性では、これまでの延長線の戦略以外に、「休日のお客様を狙える」、地元で一番となれる「スターバックスが出店していない地域」なども考えられるでしょう。また、メニューなども「目的」となるように積極的にスターバックスと差別化していく必要性もあると考えられます。