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匠ニュースレター「噂のIKEAに行ってきました!」前編(全4回のその1)

 

 第三京浜道路港北出口では、土日になると「IKEA渋滞」と呼ばれるものが出来る程、凄い集客力をほこるIKEA。その秘密に迫るため、匠ニュースレター編集部はIKEAに取材を申し込みました。 しかし、大変話題のある会社様なのでお返事をいただけませんでした。 そこで、視察調査と仮説検証、2次データを駆使して、どれだけIKEAの人気の秘密に迫ることができるかチャレンジしてみました。
 題して「噂のIKEAにいってきました!」IKEAの日本上陸により、今後の家具市場はどうなるのか! IKEAの魅力を解剖・解析! 後編は大胆に、停滞する日本の消費者意識の方向性を「明るく、楽しくする」仮説検証を試みました。

 

<前編トピックス>
1.「噂のIKEA船橋店に行ってきました!」
 ・IKEAの素晴らしさは「劇場空間」
 ・見て、触って、楽しんでお手伝いしたくなっちゃう空間
2. IKEAは人の集まる場所 どれだけの人が来ているか試算
 ・新三郷ショッピングエリアにどれだけ人が集まるの?
 ・ソフトクリームを食べている人から来場者数を推測
 ・どこから人が来ているか? 駐車場調査で推測
 ・車のナンバープレート調査をマップ化、商圏を確認する
 ・2時間以上かけて人が集まるIKEAは家具屋ではない!?
3.家具需要の牽引役と消費者意識の時代変化を探る
 ・昔の家具需要の牽引は「新築、結婚、建て替え」
 ・リフォーム需要から来る家具購入意識と市場の縮小化
 ・消費者意識の変化
 -消費者の「こだわり」と「おしゃれ感」の変化・多様化
 -家具に求められる「おしゃれ感とは」
 -増えない収入で女性はちゃっかり玉の輿を狙う?
 -インターネット普及による買い方の変化
 -今まで通用した「売れる法則」が通用しない
  -「失敗したくない」消費者
4.家具業界の状況 ニトリの一人勝ちはいつまで続く?
 ・売上データからみる特徴
 ・ニトリの一人勝ちは続く? IKEA vs ニトリ
 ・IKEA日本上陸の経緯を考察
 ・IKEAの出店戦略は規制もあり、コストコと同じ!

5.何度も来店したくなるIKEAの魅力とは
 ・家の空間もお洋服のように衣替え出来る低価格
 ・集客力のあるお店の特徴は動線に在り!
 ・IKEAの動線はファッション店舗を凌ぐ
 ・デザイナー感嘆!アイディア 満載のショールーム
 ・目が回らない店内の秘訣とは - VMD(Visual Merchandising)
 ・ショールームの秘密 見る人への 働きかけ
 -アイキャッチ(視線動線)と色 ルームセット作り
 ・色へのこだわり 北欧家具の色とIKEA DNAへの展開
6.IKEAを取り巻く国内の代表的なSPA業態との比較
7.どこまでSwedish Modern IKEAが日本人の生活空間に浸透 していくのか?
 ・ディズニーランドのリピート率とIKEAの類似点
 ・IKEAのターゲットは30歳、40歳代への浸透
 ・サイズの違い
 ・日本人の生活空間DNA vs IKEAフラットパック
8.IKEA売上拡大の大胆な仮説
 ・IKEAとファッション業界がコラボ!
 ・MINI IKEAで都心への出店も視野にしてみたら!
 ・百貨店跡地に出店して、地域貢献
9.今後のIKEAの動向
 ・20歳代、30歳代はすでにIKEAにDNA感染!
 ・40歳代は、勝ち組、負け組で消費動向が異なる
 ・50歳代以上の取り組みはどうする?
 ・今後の家具市場のあるべき姿とは?
10. IKEAは使命感経営、その他は売上重視経営
結局「何の為」、「誰の為」にお店が あるのか?

1. 「噂のIKEAに行ってきました!」

おぼっちゃま 「噂のIKEAにいってきました!」 これが、匠ニュースレター編集調査員の中年オジサンが南船橋から帰ってきた第一声でした。以前から、ニュースレターチームの若手からは、「IKEAいいですよ!」と言われていたが、ショッピングが苦手な中年調査員は二の足をふんでいました。理由は、特集ネタ探しに「IKEAに行く」抵抗感よりも、ショッピングが「苦手・面倒くさい・疲れる」という理由があったそうです。 それは、苦手意識というより「心理障害」に近いものでした。というのも、百貨店での、小学校卒業式用のブレザー購入体験が彼のファッション人生を狂わせた事件となったらしいのです。 母親につれられ、昭和の高度成長時代に、中流階級のショッピングとて定番の百貨店に買いにいったとき、女性店員さんからいわれた一言 「おぼっちゃまのブレザーをおさがしですか?」。 この「おぼっちゃま」の一言が彼の消費者意識、ライフスタイル、おしゃれ感覚の芽を摘んでしまい、洋服店に入ると「3分もいるとトイレに駆け込みたくなる」といって、ショッピングできない状況だったといいます。学生時代はジーンズ2本ですごしたという貧乏学生だったそうです。
 その心理障害を持った調査員が、今回初めてIKEAデビュー。一日の視察を終えて帰社したときの様変わり。「IKEAは家具のDisnylandだ~!」と興奮状態。 その日から、会社がはじまっても、ランチタイムでも、IKEAを熱く語る中年オジサンに変身しておりました。 彼曰く、「今後の小売業の業績回復のヒントがたくさんある!」と叫び、彼自身の「お買い物アレルギー」を忘れてしまうくらい「不思議な空間」だったそうです。 そして、IKEAから学ぶことは低迷する消費に対して「今までの売り方」からの脱却に喘いでいる小売業等、「見習うことが多いのではないか?」ということでした。 彼の好奇心はとまりません。

 そこで、仮説として、IKEAの店舗空間の魅力を図式化してもらいました(図1)。
 IKEAの店舗空間の魅力とは、「見て」、「触って」、「行動(見て回る)」。そして、「自然と“do it yourself”してしまう気持ちになってしまう空間」が特徴と言います。
 特に、中高年消費者の場合、家具の設置や搬入を業者の方にしてもらうのが「当たり前」でしたが、このスウェーデン家具屋さんにいると、「自分で商品を探してレジに行く気持ちにさせられ」、店内の説明ディスプレイ「お客様のご協力で低コストを実現できています」を見るとつい、納得してしまったそうです。
 また、販売員の接客態度や何気ない言葉、表情も、楽しい空間を演出する重要なポイント
「おばあちゃんも座れるいい感じのソファーを探しているんだけど・・・」と相談すると、とても親身に探してくれたそうです。この販売員は日系スウェーデン人、流暢な日本語で対応。一言一言丁寧に選びながら、「おばあちゃんがどんな人?」か聞きながら、一緒にソファや椅子に座りながら商品を紹介してくれる態度・姿勢をみて嬉しくなったそうです。接客の好印象も加わり、「好き勝手に見て回り、リラックスできる空間演出」はまるで、外国旅行をしているかのような気分を味あわせてくれる「スウェーデン家具屋のディズニーランド!」
 どれくらい人が集まっていたかを聞くと「平日の水曜日なのに、午後1時35分~2時の間で、倉庫にいる人を除いて661人。カフェレストランには150名が食事」をしていた。平日の来場者数は確実に千人以上じゃないかな。」
 この証言を基に、匠ニュースレターチームはIKEA三郷・港北の2店舗視察調査に乗り出すことにしました。

 

2.新三郷ショッピングエリアにどれだけの人が集まるの?4万1千人

 まず、IKEA新三郷のあるショッピングエリアに1日どれだけの人が集まり、IKEAには何人来店しているのか試算してみることにしましょう。このエリアにくる交通手段は電車、そして近隣の方が利用する自転車です。
 駅員さんに伺ってみると「平日2万人、土日は3万人ほどかな?」とのことです。
 ここで中年調査員が騒ぎ出しました。新三郷駅には、三井不動産が運営するショッピングパークららぽーとや、コストコホールセール(米国生まれの大型会員制の倉庫店)もあります。 土日電車だけの1日乗降者数は3万人、平日と比べると1万人増えています。これに車での来場者数を調べると、「おそらく土日はこの新三郷駅近隣のショッピングエリアに4~5万人来ているかもしれない」と言うのです。
 ちなみに、5万人という規模はどんな状態なのでしょうか? 東京ディズニーランドでいうと、アトラクション1時間待ちが目白押し状態。その昔「満員御礼」の100円金一封がでた「インパーク5万人」規模ということです。3~4万人でもアトラクション待ち時間は30分はある状態です。
 では、新三郷エリアに集まる人数を①電車での来場者数と②駐車場台数で「仮説試算」してみましょう。


① 電車来場者数 = 駅乗降者客数 - (定期利用者数+従業員)


 定期利用者数は、駅近隣に住む総世帯数から推測します(通学は今回は除きます)。総世帯数は通勤者利用範囲は駅から半径1kmとします(仮想通勤利用者商圏 図2)。 TakumiMapで調べると総世帯数は7,286 世帯。そのうち、持ち家世帯数は約3,000世帯です。家族構成を調べてみると「ファミリー層の多いエリア」(図3)ということが確認できます。平日の駅乗降者客数は2万人と仮説。7,286世帯のお父さんや単身者、そして、二人世帯(1,893世帯)は共働きと仮説すると、通勤客となる定期利用者は約9,174人となります。

 

 

 三郷エリアで働く従業員は、「ららぽーと内ショップ数176店舗x各店舗平均10名の従業員」として、1,760名
 IKEAオープンスタッフ募集員数が300名だったので、オープン当時ほど混雑はないとみて、低く見積ってその半分とします。コストコはIKEAと同じ規模の従業員数と仮説します。IKEA、コストコ合わせて300名です。
 三郷エリアで働く従業員数は2,060名(1,760名+300名)となります。
 ショッピング目的で来ている人(仕事の人を含む)は、およそ平日では約1万8百人、土日は通勤利用がまったくいないとすると3万人になります。
 次に、車・自転車での来場者数を計算してみましょう。

② 車・自転車来場者数 = 平均乗車人数 x パーキング数 x パーキング回転率 + 駐輪場数


 IKEA新三郷の無料駐車場台数は2,500台、ららぽーと新三郷のホームページでの発表駐車場台数は2,800台。埼玉県への届出(埼玉県告示第七百一号)ではコストコとららぽーと合わせて3,262台、駐輪場1,235台となっている。ららぽーとの駐車場台数はホームページ発表台数を採用します。
 車で平均2人来場、ららぽーと、コストコは土日の駐車待ちがあるので、駐車場の回転率を1.2と想定。IKEAも同じとする。駐輪場も満員御礼とした場合、13,955人。
 三郷エリアへの来場者数は4万1千人(電車27,040人+車13,955人)を超えることが判かりました(図4)。

 

図4

 

■ IKEAのソフトクリームを食べている人を見て、土日来場者数を推測
  ショッピング後の軽食だけの売上がコンビニ1店舗分も

 

 では、IKEAへの来店者数はどれだけいるのでしょうか?
 簡単な視察調査をして推測してみましょう。IKEAでは「腹が減ってはショッピング出来ぬ!」があたりまえのようです。レジで会計を済ませた直後、すぐ目につくのが軽食が楽しめる「ビストロ」。その見え方がまるで、買物で「一休みしたい」気持ちがわかっていたかのような、うれしい場所です。しかも飲食が、格安でできるのです。立ちながら食べるのですが、ホットドック&コーヒーが150円。そして、ソフトクリームが、な、なんと50円!で購入できるのです。これはマクドナルドの100円ソフトクリームより安いです。最低半日はショッピングをした後の体にソフトクリームはとても癒された気持ちになります。
 ではいったい、IKEA50円ソフトクリームはどれくらい販売されるのでしょう。販売員さんに伺ったところ、「土日では3,000個以上」売れるそうです。「ビストロ」で1時間ほど観察しましたら、5人に1人はソフトクリームを食べている様子です。
 仮説試算をすると、IKEA来場者数は「ソフトクリーム3,000個x5人=15,000人」となります。ソフトクリームだけでも日販15万円(@50円x3,000個)です。 コンビニの主力商品でも単品だけで、この売上はなかなかいきません。これに150円のホットドック&コーヒーを4人に1人が購入しているとすると、562,500円(@150円x3,750人)となります。ソフトクリームとホットドック&コーヒーだけで、1日の売上金額 712,500円です。調子の良いコンビニ1店舗分の売上がショッピング後のIKEAの「ビストロ」にあることになります。 抜群の集客力を誇るIKEAならではの商業規模感です。
 先ほど、土日に新三郷のショッピングエリアに来る人数を4万人と試算しました。IKEAには1万5千人来場することになります。つまり、新三郷に来た4人に1人以上はIKEAに立ち寄ることになります。

 

■ どこから人が来ているのか? TakumiMapと駐車場調査で推測

 では、どこから、これだけたくさんの人々が来ているのでしょう。TakumiMapと駐車場調査で商圏の規模感を探ってみましょう。
 通常、たくさんの人が集まる商業施設の出店場所を決める場合、1時間で来られる範囲を調べます。電車、高速道路、一般道など、その土地で利用されている交通手段を詳しく調べます。今回は新規出店商圏調査ではなく、既存店の実商圏を調査です。
 正確な商圏を掌握するには買物客に郵便番号を聞いたり、顧客住所を基に調べます。 一番良い方法は、IKEA FAMILY 会員メンバーの登録住所を基に、地図上にプロットして調べるのがベストです。でも、調査隊がその住所リストなど入手することはできません。

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